· 

マジックテープからデザイン論

みなさんは、マジックテープをどう思いますか?

 

昔、デザイナーの友人と一緒に靴を買いに行ったとき、目にとまったのが、マジックテープの靴。

 

ラクそうでいいじゃんと手に取ると、デザイナーの友人曰く、

 

「ベリベリッという音がするのが、ダサイ。」

 

と。

 

なるほど、言われてみるとそうなので、その靴はやめました。

 

現在は、5才の子供の靴や傘には、マジックテープ式がラクちんで使ってます。

 

マジックテープをネットで検索すると

 

「彼氏の財布がマジックテープ式だった 死にたい」

 

と書いている人まで発見。

 

それほどまでに、マジックテープはダメなのか~と思ったが、大人が使う物としては、おしゃれじゃないと、自分の中では結論付けてます。

 

印刷物のデザイナーの自分としては、おしゃれと使い心地のラクさを、両立させた物を作りたいと思いつつも、「ラクをしたいと思う心(怠慢な心)」こそ、ダサイのなら、永遠にそれは両立できないとも考えます。

 

靴でいうと、ひもを結ぶのが面倒だから、マジックテープの靴を選んだとすると、マジックテープがダサイのではなく、ひもを結ぶ手間を惜しむ怠慢な心がかっこ悪いということです。

 

朝、早く起きれなくて、ひもを結ぶ時間のない人と

 

朝、早く起きて、優雅に靴のひもを結んで出かける人。

 

どちらがカッコいいか。

 

私が通ったデザインの学校は、有名なデザイナーが建築した建物でしたが、出入口の屋根が、アミ状になっていて、雨の時に濡れるのです。

 

学生には不評でしたが、たぶん、デザイナーはアミ状になっている穴からさす光が美しかったり、風通しが良かったりするので、このデザインにしたのでしょう。

 

「デザインの良さと便利さは、相反するもの」

 

と言うデザイナーも多いです。

 

あれは、アミ状の穴からの光や風を楽しむような、ゆとりある学生生活を送ってくれよ、というデザイナーのメッセージだったのでしょうか?

 

チラシに置き換えると、おしゃれなデザインとわかりやすいデザインは、イコールではないです。

 

例えば、文字を大きくすればするほど、わかりやすくなりますが、おしゃれからは、遠くなります。

 

具体的にいうと、値段の数字を大きくすればするほど、スーパーの安売りチラシのようになって、安物をタタキ売りしているようなイメージとなるのです。

 

しかし、目指すは、

 

「わかりやすいのに、おしゃれなデザイン。」

 

です。

 

優先順位としては、

 

1、わかりやすい

(文字が読みやすい。グループ分けが明確。意図や意味が伝わりやすい。)

 

2、おしゃれ

(かわいい、かっこいい、面白い、素敵を含む)

 

です。

 

P.S.

マジックテープの話から、ぐいっと、デザインの話に持ってきてしまいました。

 

2012.05.17 旧ホワイトミントより